転職は応募書類を作ったり面接の時間を設定したりと、活動中には何かと「忙しくて全然時間が取れない!」と感じるものです。また、そもそも今の会社を辞める前提で動くはずなので、「できるなら今の会社を早く辞めたい」と考えている方もいらっしゃると思います。
今の仕事を辞めてから転職活動することはもちろん可能ですが、あまりおすすめしません。筆者も実際に無職で転職活動をしたこともありますが、心の余裕も、面接官の反応も、在職中の転職とは全く変わると感じました。
実体験で感じた、5つの不利やデメリットをご紹介します。
1.書類選考に若干通りにくくなる
企業への応募書類を作るとき、「現職」という項目があります。また、履歴書や職務経歴書では過去から現在までの職歴を明記しなくてはいけません。
このとき、仕事を辞めていると「無職」「退職済み」となります。書類選考では、現時点で無職であるという点だけで、企業側に一つの懸念材料を与えてしまうことになるのです。
筆者も在職中に応募していた頃は5割程度書類選考に通っていた実感がありましたが、仕事を辞めた状態では書類選考合格率は2〜3割程度に落ちました。
優秀な方、立派な経歴を持つ方であれば、無職だろうがあまり関係ないかもしれません。ただ、「仕事を辞めている=無職」という捉え方をされて、選考で不利に働く場合もあるのです。
2.辞めた理由を面接で必ず聞かれる
書類選考に通ったら次は面接ですが、ほぼ確実に退職した理由を聞かれます。
転職理由を話すのと何が違うの?と思われる方もいらっしゃるでしょう。転職理由は「なぜ転職するのか」という質問であって、退職理由は「なぜ辞めたのか」という“疑問”です。
転職理由は「スキルアップのため」などのポジティブな話ができます。一方で、転職先が決まっていないのに仕事を辞めた理由はたいていネガティブではないでしょうか。
本音を胸に秘めて「転職活動に専念するためです」と答えても、「仕事を続けながらできなかったの?」「日中は何しているの?」「そんなにすぐ辞められたの?」と、雪だるま式に答えに困る質問が増えていきます。
面接官は不安材料をできる限りなくしたいですから、こういった質問が出るのは当然です。
また、直接は聞かれないかもしれませんが、「人間関係に問題があったのかな?」「メンタルに問題があるのかな?」と勘繰られることもありえます。
こうなると、面接が自己アピールや双方の納得度を高めていく場ではなく、尋問のような雰囲気となり、先のステップへ進むことが難しくなってしまうのです。
3.隣の芝生は青い理論
面接を含めて、選考に大きく関連することとして、「会社を辞めて転職活動だけをしている人」よりも「どこかで毎日働いている人」のほうが面接官にとっては魅力的に映ります。他人のものは良く見えるんです。
「今働いていないなら大変だろうな、早く内定ほしいだろうな」と思われるよりも、「この人は今の会社で立派に働いていて、そこを辞めてうちに来たいと言ってくれているのか」と思われるほうが有利ではないでしょうか。
4.心の余裕がなくなってくる
仕事がない=収入源がない、となった場合には心の余裕がなくなっていきます。
貯蓄がたんまりあったり、副業などでの収入が見込める場合には、それほどダメージにならないかもしれません。しかし、そんな人でも、万が一転職活動期間が長引いた場合には、余裕がなくなっていくものです。
「このまま転職先が決まらなかったらどうしよう」という考え方が頭の中を占めてくると、対象を広げて手当り次第に応募していくような悪循環が生まれます。また、余裕がない人は、面接でも本来の自分が出せず、面接官にとって魅力的に映らないことが多いのです。
仕事を続けていれば、もしも転職先が全く見つからない場合でも、生活の不安はありません。今の仕事で嫌なこともあると思いますが、無職になって生活が維持できなくなるよりはましかもしれませんね…。
その他、無職の期間でも年金や健康保険料などを払わなくてはいけません。今まで会社がやってくれていた手続きも自分で行うことになります。時間はできる限り転職活動に充てたいのに、まずは税金の支払いってどうやるの?などと調べ物をする時間が増えていくことでしょう。
仕事を辞めることで心の余裕がなくなっていく。これはかなり大きなデメリットだと思います。
5.生活リズムが崩れる
最後に、誰もが陥る可能性のあるものとして、生活リズムが崩れることが挙げられます。
「仕事に行かなくていいんだ!」となるとウキウキして夜ふかしや二度寝・三度寝をしたくなりませんか?
一日くらい良いだろうと思っていると、いつの間にかそれが習慣化してしまいます。昼夜が逆転してしまったら、面接の時間に起きるのも一苦労です。
また、毎日毎日7時間も8時間も転職活動に費やす意欲がなければ、日中もゲームをしたりテレビやネットを見たりと、メリハリのない生活を送る可能性があります。
楽な生活に慣れると、週5日働く生活に戻すのはかなり難しいです。