求人を探している中で、「当社は世界的なスポーツ大会に携わっています!」や「世界的なスポーツの祭典を支える仕事です!」などと書かれているものを見たことがありませんか?
また、求人を出す採用担当者さんで、「オリンピック・パラリンピック」について触れようとしている方はいませんか?
実は求人広告では「オリンピック・パラリンピック」については、原則として触れることができません。だからわざわざ「世界的なスポーツ大会」などとわかりにくい表現を使っているのです。
※以下、オリンピック・パラリンピックを総称して「オリンピック」として記載します。
アンブッシュ・マーケティング(便乗商法)はNG
求人広告でオリンピックと表記できないのでは、「アンブッシュ・マーケティング」というものが関係しています。
アンブッシュ・マーケティングとは待ち伏せ(ambush)を利用した広告戦略の一つで、いわゆる便乗商法のことです。例えば、オリンピックマークなどを勝手に使ったり、自社がオリンピックと関わりがあると謳ったりしてはいけません。
なぜなら、国際オリンピック委員会(IOC)および国際パラリンピック委員会(IPC)は、スポンサー企業にのみマークの使用などを認めることで、協賛金などの収入を得ているからです。スポンサーではない企業が勝手にオリンピックイメージを流用できてしまうと、「スポンサーになった意味がない!」とスポンサー企業からの協賛金が減る可能性もあり、大会の開催そのものにも大きな影響を与えてしまいます。
こうした理由からオリンピックに関連する知的財産の保護が行われていて、使用が認められている企業や団体以外は、広告・宣伝などでオリンピックに触れることはできないのです。
NG文言例
- 「オリンピック」「パラリンピック」の用語やマークの使用
- 「オリンピック」「パラリンピック」に関連する用語(聖火など)・画像・楽曲の使用
- 日本のスローガン「がんばれ!ニッポン!」
- 「がんばれ○○選手」
- 「○○オリンピック」「○○リンピック」
- 「東京五輪を応援しています」
- 「私たちの○○がオリンピックで使用されました」(実績でも不可) など
すべての広告・宣伝においてNGという点に注意!
NG文言は細かくはもっと色々あるのですが、つまりは求人広告などでは「オリンピック」に関連する表記や画像は一切使わないようにしましょう。これから開催されるオリンピックについてだけでなく、過去の大会についても同様に触れることはできません。また、オリンピックエンブレムに似せたオリジナル画像であっても使用しないのが無難です。
求人広告だけでなく、すべての広告・宣伝においてオリンピック関連の表記や画像などを使うことはNGです。Facebook・Twitter・LINE・InstagramなどのSNSやブログなどでも、自社の宣伝効果や利益に関わる場合はオリンピックについて触れることはできないので、採用担当者の方は注意しましょう。
ちなみに、オリンピック以外にも、FIFAワールドカップなども同様にアンブッシュ・マーケティングの観点で、求人広告などに表記することはできません。(基本的には制作会社の担当がその辺りは知っているはずなので、採用担当者さんはあまり気にしなくても大丈夫だと思いますが。。)
まとめ
求人広告では「オリンピック」と大々的に表記することができないために、苦肉の策として「世界的なスポーツの祭典」などと表現しています。これも「2021年に東京で開催される世界的なスポーツの祭典」などとしてしまうと、オリンピックが容易に想起されるのでNGになることが多いです。
求人を探している方は、「世界的なスポーツの祭典」などと書いてあったら「これはオリンピックについて言っているのかな?」となんとなく想像することができますね。
オリンピックに関連しているということは企業にとって大きなイメージアップにつながりますが、採用担当者の方は広告ではそこを堪えて別の訴求を考えるのが良いでしょう。